春の陽色の花を、力一杯開いている。

右端のショボくれたやつは、咲き終りのスノードロップ


昨日開きかけていた福寿草が咲いた。

こうして撮っているはしから、
アナがトイレの場所を探してうろつき、
蕾を踏んづけて歩いたものだ。
水仙の蕾とかも、お構いなしにぺきぺきと折ってくれたよね。
犬にとっては、草も花も変わり無いから仕方ないが、
アナは、少しお馬鹿なワンコだったので、
手当たり次第口に入れるのを叱ってばかりいた。
頭の良さでは、初代、先代は並ぶくらいに良く、
日常会話は理解していて、コマンドもしっかり入ってた。
動物病院の先生も、先代が車に乗るところを見て感心していた。
先代は「後ろへ行って」で、リヤシートに行き、自分で伏せる子だった。
三代目のアナは、先代たちより二段くらいは劣っていた。
母に「知恵遅れじゃないか?」と言われたほど。
「お手」も出来ないけれど、
芸が出来なくとも命には関わらないから良しってことで。
やはり「馬鹿な子ほど可愛い」というヤツだろうか。
自室に並ぶ三代のシェルの遺影。
それぞれ、一癖も二癖もある子たちだった。
それにしても、ここにアナが並ぶ日が来るなんて…
我家の庭には、その亡骸たちが埋まっている。
毎夜、鼻水と涙でぐちゃぐちゃになりながら、
掘り出したいという衝動を、無理やり押さえ込んで家に入る。
最後の病院行きのさい、
雪の坂道で削れた指の傷が、ようやく塞がり始めた。
傷口を見るたび、生者と死者の世の違いを思う。
神話の世界でも、ひとたび死者の国へ行ったものは戻れない。
アナの居た時間がどんどん遠くなっていく。
毎日、
殺される運命にある犬たちのサイトを覗いている。
出来れば一頭でも…という思いの反面、
「アナじゃなきゃイヤだ」というエゴに負けてページを閉じる。
(現実には、もう中型犬サイズは困難だと判っているけれど)
寂しい春がやってきた。


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