チビ茶、随分デカくなったな~
いつもは、こんなに傍まで近づけないのに、急にフレンドリーになるなんて変じゃないか?
茶雉は、ごろんと転がり、「撫でてぇ~」姿勢を取る。
やっぱりおかしい。
これ、チビじゃないんでは?
よくみれば、腹に、白い紋がある。
これは、初夏前に行方不明になった茶雉ボス猫では?
母に言うと、やはり、同じことを思ったらしい。
今まで、どこでどうして暮らしていたのか?
この近所に居たのならば、そこらで見かけないはずがないし、猫の行動範囲は、それほど広くない。
どこへ行っても、その周辺の猫の縄張りがあるからだ。
行方不明になった猫を専門家に探してもらうと、大抵は、半径1~2Kの範囲に居るらしい。
他所の縄張りへ入り、「ここは俺の縄張りじゃ! あっちへ行け!」と、どつかれてウロつくうちに、自分のきた方向が判らなくなってしまうのだとか。
それにしても、痩せるどころか、より、デブになったようだ。
顔も、そこはかとなく、迫力がつき、ちょい強面。
既存の茶チビも、ほぼ成長しきり、ちょっと見、子猫ではなくなった。
「名は、体を表す」と言う。
判別のため、元茶雉には、「デブ」という不名誉な呼称が付いた。
抱くと、ずっしりくる。
恐らく、5Kはあるだろう。

かつて、せっせと餌を運んだミケは、息子であるという事実も忘れたらしい。
双方、知らん顔を決め込んでいる。

元「茶雉」 現「デブ」贔屓の父が、鯉を獲ってきて、猫パーティが始まる。
デブは、餌をねだりっぱなしだが、カリカリは食べようとしない。
オマエ、一体、どんなモン食って過ごしていたんだよ!
野良に餌をくれる人は、結構居るものだが、漁師町でもない限り、普通はカリカリである。

ほとんどコタツで過ごすチビは、たまに、戸外で私と顔をあわせると、かなりの距離を取る。
失礼なやっちゃ!
「好意に見返りを求めたら、それは、もう、好意ではない」
というのが、私のポリシーだが、愚痴くらいは言わせてくれ。
去年、死に掛けていたオマエを、手当てして、薬やミルクを飲ませ、あまつさえ、なし崩し的に飼い猫になれるように仕向けた私に対して、その態度はないだろう。
それらは、確かに、私が勝手にしたことだ。
感謝してくれ!などという気は、さらさらない。
でも、タマに、ほんの少しくらいは、愛想くれてもいいんじゃないか?

峠は越えたとはいえ、虚弱な体質はどうにもならないらしく、一日中寝ていることが多いが。

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